体験記
山口県央連携都市圏域「山口ゆめ回廊」
地域の人の暮らしや生産者に触れる旅「山口県央7市町の味・人・暮らしに出会うオンラインツアー」
~いきいきと暮らせるナナシマチの魅力とは~
こんにちは。『あうたび合同会社』が主催する山口県央7市町の味・人・暮らしに出会うオンラインツアーに参加しました。
7市町(ナナシマチ)とは
写真引用:山口市ホームページから
山口県央連携都市圏域、通称『ナナシマチ』(愛称名“山口ゆめ回廊“)は、山口市・宇部市・萩市・防府市・美祢市・山陽小野田市・島根県津和野町の7つの市町からなっています。
豊かな自然や歴史、伝統、文化、産業、人材などの個性を十分に発揮し、「移住」「観光」「起業・創業」「情報発信」などを相互に連携や補完を図り、圏域全体としてさらなる活力につなげていく取組を進めています。
と固い説明になってしまいましたが簡単に言えば、「ナナシマチ」で協力してこの地域を盛り上げていこう!!ということ。
ナナシマチのことが理解できたので、ナナシマチに暮らしている魅力的な方々に会いに行ってみましょう!ということで、まずは主催者の紹介!!今回のツアー添乗員であるあうたびの唐沢 雅広さん。
唐沢 雅広(からさわ まさひろ)さん あうたび合同会社代表社員兼CEO/旅行業界歴は20年。都内の旅行会社で企画などの経験を経て取締役に就任。その後、自然食の販売事業など新規事業の立ち上げに携わる。独立後、起業セミナーや交流会に参加する中で、脱サラして田舎で農業とクラフトビールやワインを作る人と出会い、その人の田舎を訪れた際のおもてなしなどの体験に”人に会いに行く”ツアーを作りたいと2016年に「あうたび」を設立。
あうたびは「日本中の素敵な人に出会う旅」をテーマとしており、他のツアーでは決して体験することの出来ない地元の人々との交流や特別な体験を楽しむことが出来ます。
そして、もう一人の添乗員は山口県出身で東京のアンテナショップで移住相談員として活躍中の平尾 祐子さん。
平尾 祐子(ひらお ゆうこ)さん NPO法人 ふるさと回帰支援センター やまぐち移住コンシェルジュ 。愛称はゆうこりん/山口県出身。東京の有楽町にある「やまぐち暮らし東京支援センター」にて山口県の移住相談員として活躍中。
今回のツアーでは豊かな自然と温暖な気候風土に恵まれ、全国的にも暮らしやすい県として評価を受ける山口県と島根県津和野町のナナシマチをオンラインツアーで巡りました。
「移住・定住」にスポットを当て、各地域に移住してきた方々や各地域を代表する特産品と生産者のトークから7つの地域の食や人、地域のあたたかさを感じることができました。
さて、今回ツアー参加代として地域応援セットを購入して届いた特産品はこちら!(オンラインツアーでもGo To イベントも適応)
山口県央ナナシマチ満喫セット(Cセット)
【萩市】
「八千代 Bd-14 純米酒 四段仕込み」720ml(八千代酒造)
お米シロップ 150g(株式会社アグリード)
【山口市】
ココえび狩リー 180g(原田丸海産有限会社)
【防府市】
極上黄金竹輪 115g
焼抜蒲鉾 伝承づくり 165g(株式会社岡虎)
【山陽小野田市】
小野田銘菓せめんだる 40g x 6 個(有限会社つねまつ菓子舗)
【美祢市】
美東ごぼうせんべい 80g(株式会社ナガヨシ)
【津和野町】
つわ乃紅茶ティーバッグ 3g x 8 個
まめ茶羊羹または煎茶羊羹 220g(まめ茶の秀翠園)
【宇部市】
ヴァイスヴルストとローストカスラーのセット(デリカテッセン・エルステン)
私は何度かあうたびさんのオンラインツアーに参加させていただいているのですが、毎回ワクワクするのが事前に送られてくる特産品セットです。
それではツアーの様子をご紹介致します。
最初は全員山口宇部空港に集合!そしてここから向かった先は・・・
自然とふれ合えて、暮らしが創造性豊かな萩市で活動する人
『つぎはぎ農園』にお邪魔しました!ここは通称泊まれるフリーペーパー専門店。最大4人まで宿泊が可能です。
代表の石田 洋子さんは築約80年の古民家で、昔ながらの手仕事、自然の恵みを活用する暮らしの知恵を、アーカイブしていきたいという思いで暮らしていらっしゃいます。
石田 洋子(いしだ ようこ)さん つぎはぎ農園 代表/都内IT企業に15年勤めたのち2017年、自然豊かな田舎暮らしがしたくて萩市へ。農家で働きながら、2018年7月に創刊したリトルプレス、つぎはぎの編集部としてローカルな魅力を伝えるリトルプレス作りやライター活動を行っている。
神奈川から移住をしてきた石田さんは、自然と触れ合う機会が増えたり生活自体がクリエイティブになったとおっしゃっていました。
素敵なつぎはぎ農園さんをお借りして、ツアー参加者で恒例のかんぱ~い!
今回送られてきた『八千代酒造』の純米酒「Bd-14」、不思議な名前ですよね。Bdとはボーメ・ディグリーのこと(Bdは商品名としては、ビーディーという読み方)で、日本酒の味わいの目安となる日本酒度のことを表します。
日本酒度がマイナス14のやや甘口。八千代酒造の持ち味である四段仕込みのまろやかな甘さが引き立ちます。グラスに氷を入れてお酒を注ぐロックがお勧め。お好みでレモンや炭酸割っても美味しく飲めます。
そして次に紹介されたのが「お米のシロップ」。農薬・化学肥料不使用で栽培されたもち米と有機麦芽のみを使用しています。味は素朴な優しい甘さでトースト、ヨーグルトやパンケーキに掛けたり、卵焼きの甘味づけ、煮魚の照りだしなどデザートから和食まで幅広く使えるそうですよ!
さて、今回は萩市役所で、移住関連のお仕事をされている釼物(けんもつ)佳代子さんも萩市のキャラクター萩にゃんとともに登場!萩市も移住・定住のために心強いサポーターがいらっしゃるんですね。
釼物 佳代子(けんもつ かよこ)さん 萩市役所おいでませ、豊かな暮らし応援課 課長補佐/萩市への移住定住の促進、移住者の受け入れや活動支援を行なう。今回は自宅勤務のために自宅から萩にゃんとともに参加。
では石田さんとお別れいたしまして、次は山口市秋穂(あいお)へ!
企業の域を超えて地域資源を活かし、開発されたカレー
ということで次にお話を伺ったのは、『原田丸海産有限会社』の原田 耕治さんと、『赤瀬石材工業株式会社』の赤瀬 章太さんです!
写真右>原田 耕治(はらだ こうじ)さん 原田丸海産有限会社 代表取締役/創業明治28年の原田丸海産有限会社の4代目。秋穂で曽祖父の代から続く水産会社および車えび養殖業者の長男として誕生。下関の水産会社で13年勤務した後、1999年の台風で実家が高潮被害にあい、車海老養殖場が全滅したのを機に帰郷。翌年、原田丸海産有限会社に入社。
写真左>赤瀬 章太(あかせ しょうた)さん 赤瀬石材工業株式会社 専務取締役/創業大正9年の総合建設会社 赤瀬石材工業株式会社の長男として誕生。東京の大手総合建設会社で9年間勤務後帰郷し、赤瀬石材工業株式会社へ入社。
このお二人が創ったのは「ココえび狩リー」。秋穂で“えび狩り世界選手権大会”という秋穂を代表するイベントがあります。生きた車えびを海水浴場の干潟に放ち、参加者が一斉に素手で捕まえる大会で捕まえた車エビの数を競います。
このイベントで毎回エビ狩リーを販売していたそうですが、いつでも食べられるようにレトルトにしてほしいという声が多く、ココえび狩リーを開発したそうです。
車えびは養殖がとても大変で、えさはアサリやイカを食べるため高価であり、病気にもかかりやすいそうです。生産者の方の苦労を知ることでありがたみが増します。
さて、次の場所、防府市に行きましょう。
古くからの伝統を受け継ぎ、後世へ伝えるカタチ
幸せます* のまち 防府市にやってきました!
*幸せます: 山口県の方言である『幸せます』は、幸いです。うれしく思います。助かります。ありがたいです。便利です。の意味を持って使用されている。
貞政 芳郎(さだまさ よしお)さん 株式会社岡虎 代表取締役社長/大学卒業後百貨店に就職し、神戸にある店の食品部に配属。入社5年目の時、阪神淡路大震災が起こり、勤務していた店が一部倒壊、長期休業を余儀なくされたこと、また当時、親から家業を継いでほしいと懇願されていたこともあり、震災の1か月後に退職し帰郷。家業である岡虎へ入社。
お話を伺ったのは、『株式会社 岡虎』の貞政 芳郎さん。岡虎は明治10年、鮮魚の仲買と竹輪製造業者として創業し、百有余年が経ちます。こちらでは「極上黄金竹輪」と蒲鉾の「伝承づくり」を送っていただきました。
まずは極上黄金竹輪から。写真でみてわかるのは、大きさ・色の違い! 普段目にする竹輪より大きい、色も名の通り黄金色です。黄金色にするため、砂糖を一切使わない製法を行っているそうです。
次に蒲鉾の伝承づくり。普通のかまぼことは違い、下から遠火でじっくり火で炙る製法を行っています。そしてこちらが岡虎が練り物に使用される「はも」。かなり歯が鋭く凶暴な魚だそう。
食べてみたところ普段食べている味とは少し違う、魚の旨味を感じることが出来ました。自宅にあった柚子胡椒を少し付けてみたらアクセントになってさらに美味しかったです。
同じく防府市からもう一人ご紹介。
久野 公寛(ひさの ともひろ)さん 田中窯業 3代目/生まれは北九州市で結婚式場での就職のため山口市に移住。その後あるきっかけで、伝統技術の蛸壺づくりを行う田中窯業の3代目に。
『田中窯業』の久野 公寛さん。久野さんが蛸壺づくりを始めたきっかけは防府市の町おこしイベントに携わった時に、有形民俗文化財「末田の登り窯」の文化を知ったことから。
しかし後継者不足により田中窯業が廃業していることを知り「このままでは長年受け継がれてきた登り窯が無くなってしまう。誰もやらないんだったら自分がこの伝統を守りたい!」と思い、始めたそうです。
久野さんの作る蛸壺は蛸を取るためではなく産卵する場所として使われています。海の環境が悪くなり産卵場所が少なっていることから自然にやさしい陶器製の蛸壺が最近注目されています。
続いて4つ目の町、山陽小野田市へ行ってみましょう。
難病を乗り超えながら、ジビエという地域資源を活かす
仲村 真哉(なかむら しんや)さん 西日本ジビエファーム 代表/猟師として活躍。仲村さんの隣にいるのは猟犬あいちゃん。仲村さんが猟師になったきっかけは学生時代にクローン病を発症したことから。
ジビエの加工・販売を行う『西日本ジビエファーム』の仲村 真哉さん。近隣で仕留められた動物を重量で買い取り、解体。部位ごとにブロック肉にしてパック化し、商品として販売しています。 ジビエとは狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味する言葉です。
ジビエは生臭いイメージがありましたが仲村さんの加工したものは美味しいとのこと!そして今ではクローン病を発症された方からの問い合わせも増えているそうです。ジビエの美味しさ・魅力が全国に広がって欲しいです。
どんどん町を巡っていきます、お次は美祢市に行きます。
古民家で豊かな暮らしを楽しむ夫婦に出会う
訪ねたのは古民家で暮らしていらっしゃる徳田さんご夫妻。徳田さん夫婦が住む北河内集落には約四百年続く神楽が残っていて、勝幸さんは篠笛で鳴り物のお手伝いがキッカケで移動して、現在神楽舞も継承しています。実際に演奏もしていただきました。
写真右から>徳田 勝幸(とくだ かつゆき)さんと加奈代(かなよ)さん/勝幸さんは広島で有機農業を学び、美祢市にある有機農場の管理者として2011年に美祢市に移住、2016年11月に赤郷地区北河内集落に移動。加奈代さんは結婚を機に2017年2月に萩市から移住。人と自然が調和して暮らす生き方にとても魅力を感じ、時代に合わせて柔軟に生きていく事を目指している。
この場所で昨年は三年越しのお米を味わう事が出来たみたいです。その日に収穫した野菜も紹介や、古民家の中にもお邪魔させていただきました!
こちらはロケットストーブもある古民家暮らしの紹介。このような画期的なアイテムはすごく寒い地域では必要不可欠。
「古民家暮らしの良さは新鮮な野菜や井戸水を飲むことが出来ることはすごく贅沢。
移住前はショッピングに出かけたりしていましたが今は農作業したら一日があっという間に終わっています。でも今の暮らしは私に合っていたんだなと気づきました」(加奈代さん)
豊かな自然と人の温かさを感じられる素敵な場所でした。お次は山口県と一旦お別れをして島根県津和野町へ。
自然の恵みに感謝しながら、日々の暮らしを大切にする場づくりに触れる
京村 まゆみ(きょうむら まゆみ)さん NPO法人 さぶみの 事務局 山のこども園うしのしっぽ 創設者/京村さんは松江市出身で京村牧場に嫁入りし移住。幼稚園教諭・保育士として、また息子さんが通っている左鐙小学校が廃校になると聞き、行政に町民の声を届けたい思いから津和野町議会議員(二期2011-2018)として津和野町左鐙(さぶみ)地区にて活躍。「左鐙の将来を考える会」や「山のこども園うしのしっぽ」、「NPO法人 さぶみの」を立ち上げるなど、移住者増加に向け精力的に活動中。
次にお話を伺ったのは、津和野町で『NPO法人 さぶみの』の運営に携わりながら『山のこども園うしのしっぽ』を立ち上げた京村 まゆみさん。園内の様子を教えていただきました。
こんな自然と触れ合えるなんて羨ましい(写真右上)。のこぎり使って工作なども行うみたいです!私が幼稚園に通ってた頃は遊具で遊ぶ毎日でしたが、きっとここなら毎日新しい体験、日々の暮らしが染み込んで知識になるんだろうな。
給食もすごくヘルシー(写真左下)。畑でとれた野菜と地元の方がくれた食材で作っています。地元の方の愛情も感じられますね。ちなみにこの日のメニューはみそ汁に茶碗蒸し、そして、春に採ったワラビやゼンマイを干したものの煮物だそうです。
さて、ここでは参加者の皆さんにも届いている津和野町の特産品のひとつである『まめ茶の秀翠園』の和紅茶「つわ乃紅茶」と「まめ茶羊羹」の紹介です(写真右下)。厳選した素材を使って作られた商品のお話に主催者の皆さんも聞き入っていらっしゃいました。
さぁ、いよいよ最後のまち、宇部市です!!
食材にこだわり、美味しさを追求したり、暮らしにアートを取り入れて地域でチャレンジできるまち
宇部市は2020年版「住みたい田舎」ベストランキング(人口10万人以上の大きなまち)総合部門で第1位!
安 英明(あん ひであき)さん 焼肉店ニューソウル店主/山口県宇部市出身。肉を生業としていた家庭で育つ。ニューソウルを母とともに店を切り盛りしている。弟の昌幸さん(当日不在)は大学卒業後、茨城県守谷市のハンス・ホールベックにてドイツ食肉マイスターである小島豊氏に師事し、その後ニューソウルの横にデリカテッセン・エルステンを宇部市に開業。
宇部市で『焼肉店ニューソウル』店主をされている安 英明さん。弟さんの昌幸さんがされている『デリカテッセン・エルステン』についてお話を伺いました。
デリカテッセン・エルステンは「素材にこだわり、おいしい素材をさらにおいしく食べる」をテーマにハムやソーセージに欠かせない塩やスパイスは、世界中から一級品が集まるドイツから直輸入。添加物は必要最低限に、防腐剤や増量剤を一切使わないドイツ伝統の製法で店内工房にて自家製造しています。
ソーセージはボイルの後皮を剥いでとのことでした。聞かなかったらそのまま食べるところでした。(笑)
味は今まで味わったことのないような上品なソーセージとハム。食事のクオリティが上がります。
続いて紹介していただいたのは『霜降山アートセラピー絵染工房SENNNIN』の絵画教室・染物教室を行っている山内 崇敬さんと広美さんの素敵なご夫婦。
写真左上>山内 崇敬(やまうち たかのり)さん 広美(ひろみ)さん 霜降山アートセラピー絵染工房SENNNIN 創設者/二人とも宮崎県宮崎市出身。崇敬さんは独学で絵を始め15年油絵を中心に、作品展へ出展している。制作活動を更に本格化させるため、空き家だった山口県宇部市の自然豊かな祖父母宅に越して以降、自宅のリフォーム作業は日課。絵画はもちろん、面白い家・アートハウスにもすべく制作中。
最初に目に飛び込んで来たのはこの壁(写真右上)!火の鳥を描いたとのこと。製作期間はなんと1週間。もっと長い時間かかるのかと思いました。
広美さんも幼い頃から絵を描く、物を作るなどを身近に触れながら育ったそうで、短大で染色を学びグループ展や作品展へ出展する傍ら、地域の藍染体験講師など依頼も引き受けています。
植物館で働きながら、教える・教わるということを超えて、ともに体験できる染物教室を目指し活動中です。
工房の中は作品でいっぱい。生活空間に多くのアートを取り入れていて、まるで美術館にいるよう。そして広美さんからは藍染を見せていただきました。将来的には藍の栽培から染めるまでを自分で挑戦してみたいとおっしゃっていました。最初は青く染まっていませんが空気に触れるとどんどん青く染まっていきます。
編集後記
こんな感じで約4時間かけてナナシマチ巡りましたが、一気に観光できるのがこのオンラインツアーの良さでもありますね。今回の移住をテーマにしたツアー。「人」にフォーカスしたことで住んでいる人の思いを聞くことが出来た良い機会となりました。
私は田舎暮らしというものを全く体験したことがありませんが、苦労もある分それ以上に自然や出会いに感謝できる良い生活だとわかりました。
この記事を読んで移住に、ナナシマチに興味を持っていただけたら幸せます!
最後まで読んで下さりありがとうございました。
Writer:菊地 彩那(Kikuchi Ayana)
明海大学 ホスピタリティツーリズム学部卒業。現在はホスピタリティ業界に携わり、感動を共有できる瞬間を大切に日々励んでおります(2021年3月現在)。
【取材データ】
2021.02.20 オンライン取材
【監修・取材協力】
・あうたび合同会社
取材にご協力いただきました関係各諸機関のほか、関係各位に厚く御礼申し上げます。