レポーティング記事
愛媛県大洲市
地域の居酒屋さんが考案した
ご当地グルメを作りながら大洲の魅力を知る
「作って!食べて!学べる!
"大洲コロッケ"オンライン料理教室」
みなさん、「いもたき」という食べ物を聞いたことはありますか?愛媛県大洲市で地域内外から愛されているの郷土料理です。そのいもたきを「大洲コロッケ」と呼ばれる料理に変身させる面白いイベントが2021年8月23日にありました。
大洲コロッケと呼ばれるご当地グルメが生まれたストーリーを知りつつ、その美味しさを多くの人たちに伝えることで、まちに足を運んで魅力に触れていただくためのオンライン料理教室。愛媛県大洲市役所 商工観光部 商工産業課が主催して行いました。
題して「作って!食べて!学べる!オンライン企画"大洲コロッケ"オンライン料理教室」。そのユニークなイベントを実際に参加して調理した様子をお届け。
地域の居酒屋の店主の方が先生としてコロッケの作り方を参加者に伝授し、楽しく参加しながら大洲市の魅力に迫ります。
味わったことのない郷土料理や特産品などが、ワクワク感を醸成する大洲市の魅力がギュギュっと詰まった「おうちでおおずたいけんセット」とは
まずは、今回のツアーを企画、運営してくださったのはこちら。
写真右>清水 実奈(しみず みな)さん:大洲市役所 商工観光部 商工産業課 営業戦略係 主事/大洲市出身。コロナ禍で観光が厳しい中でもオンラインを活用したイベントを多数企画し、多くの交流人口を創出。最近では大洲ならではの個性・特徴のある市場性の高い、優れた産品を認定した商品「大洲ええモンセレクション」のサイト構築に参画。また、来たる11月に開催予定の“20代による20代のためのオンラインツアー!「大洲ええモンツアー」”をSNSで情報を発信。個人でも大洲の魅力を発信している。今回はファシリテーターとして地域を案内。
写真左>米田 佳代子(よねだ かよこ)さん:Planning MAO代表 NPO法人 農商工連携サポートセンター 理事 農水省農泊推進事業専門家 /宇和島藩伊達氏の末裔。地域の地場産品を活用した商品を開発すべく、全国を飛び回り、6次産業化プランナーとして、地域活性化・商品開発・販路拡大支援にも取り組む。今回、商品開発アドバイザーとして企画の調理サポートとして登場。
さて、本題に入りますが、まず驚いたのは、前日に届いた「おうちでおおずたいけんセット」に入っていた、「いもたき」がレトルトがあることでした。
【おうちでおおずたいけんセットの内容】
・大洲コロッケ作成用レトルトいもたき
・大洲市銘菓「志ぐれ」(3 個入り)
・大洲まちの駅 あさもやで使える「大洲コロッケ引換券」
・大洲コロッケレシピ
いもたきも、志ぐれも食べたことがなかったので、ワクワクしながらの参加。
オンライン料理教室なので、事前に調味料や調理器具を準備して臨みます。参加者の方々も皆さん料理好きでお料理上手な方ばかりでした。
「日本三大芋煮」の一つである「いもたき」を生産者の紹介を通したストーリーで魅力を知る
まず訪れたのが、「いもたき」の主役であるサトイモを育てている竹岡さんご夫婦(写真下中央は大洲市役所の加賀山 真帆さん)。サトイモ以外にも、キュウリやお米、トマトなども作られています。
スーパーでみるサトイモはすでに加工されて、調理しやすいものばかりですが、見せていただいたサトイモの葉っぱの大きさにびっくり。また、大洲市役所から竹岡さんご夫妻からもサトイモ畑からメッセージをいただきました!
葉っぱが日傘になりそうです。親いも、子いも、孫いもと長く育てることで大洲のサトイモはねっとりとした美味しい芋に育つ特徴を教えてくれました。
大洲市のいもたき、サトイモについて理解を深めた後は、いよいよ調理を始めていきます。まずは大洲コロッケ作りからスタート。
いつの間にか米田さんたちも割烹着姿に。日本三代芋煮を全国に知ってもらうために愛媛県大洲市、山形県中山町、島根県津和野町の3つで行う「日本三大芋煮連絡協議会」で着るのがまさに割烹着とのこと。昔ながらで少し懐かしさを感じる見た目と、温かい芋煮が味わえる会です。
すき焼きのような上品な甘さに程よい塩味が、じゃがいもで作るコロッケとは違う美味しさ
さて、今回の主役、大洲コロッケは、地域の居酒屋を経営されている藤田さんが、いもたきを盛り上げたい思いで、いもたきをコロッケにしちゃおう!と考案したことがきっかけでご当地グルメになったんです!!
藤田 祐一(ふじた ゆういち)さん:もつ鍋居酒屋 熱炎 店主/愛媛県出身。大洲への地域愛が深く、いもたきを盛り上げたい想いの下、ご当地グルメ「大洲コロッケ」を考案。今回は料理教室の講師として登場。実店舗では、地域野菜を豊富に使い、 食を通して地域を元気にする店作りに励んでいる。
大洲コロッケの主役は、事前に送っていただいた大石フーズの「大洲コロッケ専用いもたき」。
中には、大きなサトイモがゴロゴロ。ゴボウやニンジン、こんにゃくと具だくさんです。見た目から分かるほど柔らかく煮込んであるので、味が染みてとても美味しそう。
調理ではたくさんの具材を細かく切り、コロッケとして包んでいきます。食感を楽しむために細かすぎず、包みやすくするために大きくしすぎないのがコツ。
すでにいもたきとして完成されているものを切って包んで揚げるだけなので、本当に簡単でした!コロッケも少量の油で揚げても美味しく、手軽に作れるのが嬉しいレシピです。レトルト全体の3/4程度の量でコロッケ4つほど作れて、お腹いっぱい食べることができました。
コロッケを作った後は、残ったいもたきの具材を使って「大洲丼」を作ります。大洲丼はいもたきそのものの具材の柔らかさと甘さと塩味が抜群のバランスで、くせになる美味しさ。
どちらも簡単に作ることができるので、レトルトを購入してまた作りたいと思えるレシピたちでした。
今回実践はありませんでしたが、ご飯とサトイモで作るおはぎの作り方も米田さんから伝授していただいたので大洲のサトイモを購入した際は是非作ってみたいです。
「大洲まちの駅あさもや」をスタート地点に大洲の城下町をまちを歩き、昔の生活の一端を感じる情緒あふれるまちに触れる
調理した大洲コロッケと、大洲丼をいただきながら、ツアーは大洲市内を散策。ガイドは観光案内人の新田さん。スタート地点は大洲まちの駅あさもやには、大洲市の名産品がずらりと並びます。
新田 伝弥(にった でんや)さん:一般社団法人 キタ・マネジメント 事業第一課 観光施設係 係長 おおず歴史華回廊 認定案内人/大洲市出身。キタ・マネジメントに参画し、地域の歴史、文化、自然などの資源を守りながら、事業者と新たな価値を創造し、地域経済活性化をバックアップ。後世に価値ある地域文化を継承する活動に従事。今回は大洲市内でまちの魅力を観光案内を通して伝える。
もちろん、大洲コロッケの購入も可能です。その他にも、料理で使った大石フーズのいもたきや、いもたきカレーなど、親しみやすい料理とコラボしたお土産も販売されています。
「いもたき」だけでももちろん美味しいのですが、家庭の料理とコラボすることでさらに人々の生活の一部となって受け継がれていくのだと感じました。
今回は大洲市の美味しい料理だけでなく、歴史にも触れていきます。大洲市は絹糸と木蝋(もくろう)で栄えた町です。木蝋とは、「和蝋燭(わろうそく)」の原料のこと。
和蝋燭の原料を生産し、神戸からフランスに輸出したところ、「口紅」の原料として品質が良いと高く評価されて町が繁栄しました。
あさもやを出て少し歩くと、「おはなはん通り」に。ここは、昭和41年のNHK朝のテレビドラマ「おはなはん」のロケが行われたことから命名されたと新田さんが教えてくれました。
「おはなはん」の平均視聴率は43%と、今もまだ抜かれていない数字。江戸時代の町割と家並が忠実に残されているおはなはん通りは、当時の生活を感じることができます。大洲へ遊びに行ったら是非訪れたい観光スポットです。
ここで、美しい街並みに水路があることを紹介していただきました。おはなはん通りを通ると、みなさん水路に注目するそう。
この水路は肱川の水を吸い上げて、町中を流れ、大洲城の水路からまた肱川に戻っていきます。おはなはん通りの水路には黄金できれいなコイが泳いでいました。
町の水路にコイがいるってすごいですよね。泳ぎ方が特徴的で、水路幅が狭いのでなんと後ろ向きに泳ぐそうです。風情ある街並みにある水路とコイも実際に見てみたくなりました。
甘さが後にひかない美味しさの銘菓「志ぐれ」のある志保町通りから「昭和燈」のストーリーに触れる
おはなはん通りから志保町通りへ。ここは、まちが繁栄していた当時、塩屋と言った塩専門店があり、塩を求めた人で賑わったそうです。通りを歩いて見えてきたのは「大洲志ぐれ本舗 冨永松栄堂」。中に入ると冨永社長が直接お出迎え。商品やお店の歴史を丁寧に説明してくださいました(写真下の左上)。
今回の「たいけんセット」の中に入っていたのは、冨永松栄堂のスタンダードなあんこの志ぐれでした(写真左下)。
写真右上>栗が丸々一つ入った栗志ぐれ
写真右下>無農薬の宇治抹茶で2層になった「抹茶志ぐれ」
実店舗には、愛媛県産の栗を丸々一つ入れた「栗志ぐれ」や宇治抹茶を使用した「抹茶志ぐれ」などが陳列されています。どれも美味しそうですね。
早速、私も志ぐれをいただいてみました。あんこの甘さが口に広がる中、甘さが後にひかずにさっぱりとした印象です。サイズも大きすぎず、小さすぎないのでとても食べやすい。
甘党の方はもちろんですが、甘いのがあまり好きではないという方にも是非食べてもらいたいです。私はとっても好きです!志ぐれもお店によって違いがあるので大洲に来たら、是非食べて欲しい銘菓です。
大洲銘菓志ぐれの冨永松栄堂を後にすると、最後のスポット「大洲神社」に到着。
大洲神社に向う階段の入り口には背の高い立派な「昭和燈」があります。昭和燈は元々、さなぎ油を生成する工場があったところに立つ煙突でした。
残念ながら工場を閉めることになった時に、煙突を残すために工場の方が動いたそうです。その時期が昭和天皇の即位の年だったことを記念してレンガの上にモルタルを塗り、水銀燈として生まれ変わりました。今も、常夜灯として町の人から愛されています。
案内はここまで。大洲城の歴史についてや、臥龍山荘という観光名所についても写真を使い説明してくださいました。
臥龍山荘は、京都の金閣寺と国内で2箇所しか見つかっていない仕掛けがあるそうで、実際に訪れて見つけたいですね。
※背景画像は弊社による合成です。
編集後記
大洲市の歴史に触れながら、大洲の名物をいただける料理教室。現地に行ってできあがったものをいただくのも良いですが、名産品を使って家庭でできる料理を一緒に作るのも今だからできる楽しみ方ですね。
お料理好きな方や、地域の美味しい特産品を知りたい方におすすめな参加型ならではの楽しさがあるイベントでした。
企画・著作
工藤 菜穂(Kudo Naho)
頑張る人を応援し続けることを生きがいに。様々な方法で表現していきます。
【取材データ】
2021.08.23 オンライン取材
【監修・取材協力】
・大洲市役所 商工観光部 商工産業課 営業戦略係
・清水 実奈様
取材にご協力いただきました関係各諸機関のほか、関係各位に厚く御礼申し上げます。